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2006年5月14日 (日)

90歳の母の仕事

20060512img_4685  1990年10月19日(金)晴れ。

 15年ほど前のこの年、私は稲刈り後の、農閑期に縄文時代の遺跡の発掘調査に従事していた。福島県南会津郡のとある温泉のある集落。家からは遠いので、民宿に合宿しながら発掘していた。このころはとても一日の時間が長かった。

 この地区のE遺跡をM調査員と私、地元教育委員会のH室長、調査のための作業に2名の女性。先日に出てきた縄文時代中期の大木10式の磨り消し縄文のある土器、、、埋甕を実測して取り上げる。土器内から骨片が出た。器高は70cmある。

 定時で作業を終了しM調査員と、集落内にあるT公共温泉に入る。地域の人が入る小さな混浴の温泉だ。 

 そこで話をした、90歳の婆様(ばさま・おばあちゃん、のこと)のことを、紹介する。当時90歳は1900年(明治33年)頃の生まれだ。いま生きていると106歳になる。

 「オレは、民宿K屋の前の店の婆(ばあ)だ」という。

 「オレは、家でテレビ見たり、朝日新聞に目を通している。なんで?っか、というと、東京にいる子どもや、二人の孫が事故にあったりしてねえかを毎日、見てんの。それがオレ(婆ちゃん)の毎日の仕事だ」20060512img_4752_1

 やさしく笑って話してくれたが、子や孫を毎日、遠く離れても想うのが「仕事」と言い切った。テレビや新聞が報じる事故報道に目を通して、我が子や孫の名前が無いことを祈っているのだった。

(菅家博昭1990年10月のノートより)

 2006年5月14日(日)母の日によせて

 

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