« 昭和30年代の豊かさ | トップページ | かすみ草は三位 »

2006年12月22日 (金)

伝わらないのは なぜ?

■失敗学を樹立した畑村洋太郎先生の最新刊は、講談社現代新書より2006年12月20日に発刊された。『組織を強くする 技術の伝え方』(700円)。現在、新書コーナーに平積みになって見つけやすい。20061221dsc02070_1

 12月21日に通院先の待合室での、とても長い待ち時間に1冊読み終えた。

 技術は、要求される機能や制約条件の変化によって、時代とともにダイナミックに変化します。しかしその本質部分がきちんと伝わらないと、大きな変化にも対応が出来ないのです。

 「伝承」ではなく「伝達」。「伝承」という言葉には、時間をかけて確立されたものが世代を超えて変わることなく引き継がれるというイメージがあります。しかし、受け継がれた技術は「絶対に変えてはいけない」ということはないからです。

 自分が持っている技術を「世代を超えて」、あるいは「異動の際」「ある場所から別の場所」「分野を超えて」、、、「伝えたい」と考える場合。逆に、先人・先輩たちが持っている技術を「自分のものにしたい」と考えている人にとっても活用できる。Pict11

 1.まず体験させる

 2.はじめに全体像を見せる

 3.やったことの結果を確認する

 4.一度に全部を伝える必要はない

 5.個はそれぞれに違うことを認める

 ※いつも全体像を意識する、、、、ということが重要。

 「心」(どう考えるか)、「技」(どんな工夫をするか)、「体」(どんな動作をするか)。日頃から、技術の変化を前提に、全体を見ながら何をどのように考えるかの訓練を社員一人ひとりが行っている、、、、このような会社は組織として強くなる。Pict9

 私は、農業生産現場で、栽培技術・選別技術、品質管理のための技術を開発し、あるいは学んで、それを標準化して伝える、、、、という作業を日常的に行っているが、そのことを頭に置いて本を読む。ただ市場調査の技術や、店頭販売技術、、、、などもこれに含まれる。

 個別経営の農家をグループとしてどのように力を発揮するか?という課題もいつも考えている。たとえば品種選定の問題、出荷規格の問題、切り前の問題、販路・チャネルの問題、、、出荷容器(品質管理)の問題は、時代に合わせるために行うのだけれども、それが規格を守るための「検査・検品」のための規格になって産地をしばっているのが現状だ。Pict12

------

 157ページから個人知と共有知の関係論を述べている。「個の独立」が集団の基本としたうえで、、、、、、

 導き出された共有知だけに意味があると思わないことです。実際は、そこからさらにそれぞれが考えを進めていかなければ全体として進化していくことはできないのです。

 ところが、従来の企業活動では、集団の中で検討されたものだけが大事に扱われ続けるというのがお決まりのパターンになっています。そのため、せっかくできあがったものでも、まわりの環境の変化に対して適応性が極めて弱いものにしかできなかったのです。

 この原因は、知識を共有したうえで、再び個がきちんと考える作業を怠ってきたことにあります。それが結果として、外部の制約条件の変化に対して柔軟にかつ正確に対応することができない状態を招いたのです。Pict8

 集団の中で使えるのは、共有知だけとする従来の発想は「AND」が基本です。その場合、カバーできる範囲は全体が重なる狭い範囲に限定されます。しかし、個人知の存在を認めて「OR」の発想で考えると、カバーできる範囲は、そこに集まっている人たちが持っているすべての領域にまで広がります。(組織横断のプロジェクトの意味)

-----

→→→ 畑村先生の失敗まんだら  

→→→ 政府の失敗知識データベース

20061221dsc02069_1

|

« 昭和30年代の豊かさ | トップページ | かすみ草は三位 »