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2007年1月 9日 (火)

あたらしい民俗誌

■山形市の東北芸術工科大学の赤坂憲雄氏が山形新聞に1996年4月から98年4月にかけて連載された「山形まんだらを織る」。250名の人々を取材、聞き書きした。それをまとめたのが『山野河海まんだら~東北から民俗誌を織る』(1999年4月刊、筑摩書房、446ページ、3300円)

  11ページに、「(略)背負う小さな人生を大事に抱きながら、いくつもの人生が絡み合いつつ織りなされていく村の歴史に、執拗にこだわることにした。

 もっぱら聞き書きを方法として、それを補完する形で、市町村史や民俗誌に可能なかぎり眼を通した。そうして小さな人生を縦糸に、村の歴史を横糸に織り込みつつ、より大きな地域の民俗誌的な景観を描きだしてみたい。

 この時代が必要としている民俗誌こそが、あらたに構想されなければならない。

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■赤坂憲雄著『東北学へ③東北ルネッサンス』(作品社、1998年)では、冒頭の9ページで次のように、、、、

 人はしばしば、東京のようなモノや情報が過剰なまでに集中し、あらわに新陳代謝をくりかえす都市だけが最前線であると思い込んでいる。

 それはしかし、あきらかに思い上がりにみちた錯覚だ。

 都市はいつしか、みずからに外部が存在することを忘却した。

 都市からの眼差しはときに、自覚されることなき無知と傲慢に彩られている。

 都市から見える風景の自明性を、まず疑う必要がある。

 だからこそ、私には都市とムラのあいだを、つまり東京と東北のムラのあいだを往還しながら、新しさや珍奇さを競いあう言葉の群れによって覆われた世界を冷やすための、あるいは、壊すための方法と技を磨きたい、と願うようになった。

 

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