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■2007年8月からエスメラルダ社が育成したかすみ草の試作をしました。今年は4月はじめに植えたファンタイム(キリンの小澤氏が定植していった10株)が7月1日から開花しています。晩生種ですから花が咲くまでの到花(とうか)日数が長い分、草丈が伸びます。同じ日に植えた早生高性種のホワイトロード(ミヨシ育成)より2週間遅れて咲き出しました。草丈はホワイトロードと同じ130~150cmくらいになります。
2005年末からの原油高がいま日本の農業、特に花卉産業にもたらした影響は暖房費抑制農業、つまり「低温開花性」「早く咲く(早生系、わせ)品種」への転換です。2005年にミヨシが投入したかすみ草の早生系アルタイルはそんななか登場しました。2007年には秋から冬春にかけて全国シェアの高い産地の熊本県内でアルタイルは7割の作付となり、2008年にはベーシック・アイテムに定着しました。わずか3年でです。
これと似たことは10年ほどまえの1995年におきています。
日本の戦後のかすみ草はブリストルフェアリーという品種が支えました。1925年(大正14年)頃、アメリカのコネチカット州ブリストルナーセリーでアレックス・カミングという人がブリストル・フェアリー(略称BF)という白花八重種を開発(育成)しました。その品種は2000年頃までの75年間日本のかすみ草の主力品種でした。
1995年にイスラエルのダンジガー社が晩生種で夏の高温障害(奇形花・団子花)に強い品種「雪ん子」を日本国内で現・住化農業資材(すみか)を発売します。イスラエルのダンジガー社の現地圃場をたずね、いくつかの品種からこの品種を選び、日本名を付けたのも住化の社員です。それが北海道で広まり、熊本県・和歌山県等でも広まり、1999年頃からの約10年間の中心品種となります。日本各地で栽培されるうちに枝変わり品種(花の多寡、八重、草姿の差異)がみつかり雪ん子系全盛時代となりました。
雪ん子クリスタル(低温や乾燥でピンク発色する傾向が無い品種)
雪ん子360(下枝が伸び草姿がボリュームがある)
スノークイン(頂部に花が集まり、下枝が短い)
このほか雪乙女、スノークレスト、美雪などです。
■1992年、広島県甲田町の宮本仁郎さんはBFのなかから早生系の株を発見しニューフェイスとしてミヨシ等から発売します。その後大輪種などを含め、ニューフェイス系は早生系の特徴、つまり到花日数が早いことから暖房燃料費を少なくすることができるため暖地(熊本・和歌山・高知県・静岡県など)の主力品種となっていました。ビッグベン、ビッグミスター(大輪種)など、優れた育種が継続されました。
早生系品種は夏に栽培するとすぐ咲いてしまうため、草丈が短くしか維持できません。通常80cmのものが50cmほどで開花してしまうため、ニューフェイスの栽培は高冷地の北海道や福島県会津地方(昭和村も)で行われましたが数年で中止されました。
アルタイルはこれと同じ構図で普及しています。夏を越す作型、つまり7月に植えて9月から出す作型の産地(北海道・福島県)では短く咲くため普及が難しいため、雪ん子系が中心で進んでいます。
夏型の産地にアルタイル・ロングというものが今年2008年2月の高知県のかすみ草サミットで発表されました。ミヨシが育成しているもので中生から中晩生のもので、到花日数がアルタイルよりも長いため、その分草丈が確保できる、花はアルタイル、というものです。
一方、2005年~2008年のアルタイル旋風のなか、住化はヴェールシリーズ(ホワイトベール、マリーベールはほぼアルタイルと同じ性質・早生)を発売し、そのなかのホワイトベールの栽培圃場のひとつ九州から1株高性種(FG427)が見つかり、2008年夏に試作を開始しています。
ファンタイムはエスメラルダ社が育成・栽培し欧米向けに製品を販売しています。スタイルはアルタイルです。ただしこれは晩生種です。冬向きではなく、夏の産地向けになります。エスメラルダ社の苗は海外には出ないため、2008年の栽培・出荷販売は日本でははじめてとなります。キリンが販売権を取得して進めています。
一方、イスラエル国内のいくつかのメーカー等から新しいかすみ草の品種を群馬県のカネコ種苗(技術陣は旧JT出身者)がメレンゲという名前の早生大輪種のかすみ草を販売しています。またそれ以外にも5品種ほど晩生種を試作、販売しています。
早生大輪種はミヨシのホワイトロード、住化のみやび、カネコのメレンゲは、見た目も形状もすべて同じに見えます。
■日本のかすみ草はミヨシが茎頂培養技術(メリクロン)により無病苗の生産がはじまりBF(ブリストル・フェアリー)が中心の時代が長く、1992年からニューフェイス・ビッグミスター、1995年から雪ん子(住化)、2005年からアルタイル(ミヨシ)が主要な品種として国内展開しています。
一方、国際的には1997年にイスラエルのダンジガー社がミリオンスター(極小輪・晩生種)を発売してから世界各地にその栽培地が拡大し、アフリカ(ケニアやエチオピア)、エクアドルがその国際生産拠点になっています。