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2012年4月22日 (日)

思い出深い経験とするための「物語」の役割

■2012年4月19日(木)午後、福島県立博物館で新たな講座『老媼茶話(ろうおうさわ・おばあさんの茶飲み話)』で、物語のある風景と、物語の無い風景の違いを提示された。この日は朝早くからカスミソウの苗を植え付け、ようやく作業を済ませての飛び込みでの講座受講に間に合った。当初は苗植え付け日なので欠席する予定でいた。しかし受講して大きな示唆を得た。

 → 4月19日、老媼茶話1県博

 → 福島県立博物館木曜の広場

 講座修了後、博物館の喫茶室で、会津学研究会の3名の仲間と1時間ほど懇談した。今日の受講の感想を語り合ったが、3月28日に喜多方市山都の茶房・千(せん)で開催された鷲谷いづみ先生の講話で聞いたことを私は語った。

 「地球上では唯一、ヒト(人間)だけが、他の生物の生き方などを観察して学ぶことができる力を持っている」、だから「隣人たる生物種にも配慮した農業生産を行うべきである」。

 県博の講座で、会場から『老媼茶話』翻刻では、雑誌『会津嶺』に挿絵を描いた玉川岩男先生が「ただの松の木が1本、野にあったものが、その場所でキツネの物語があったことを知ると、松の枝が、おいでおいでをしているような形に見えてくるから不思議だ」と発言された。

 赤坂憲雄さんは、それを受けて「モノとしての松ではなく、長生きしてきた松を通して、人間達が見てこなかった歴史を樹木は見てきたと感じる」とし、岩手県の津波被災地での樹齢170年のスギが切り倒され、明治29年、昭和8年、平成23年の3度の津波を体験したスギ、「植物や木への感覚、人間の記憶がからまる」。「樹木を通して我々が体験をする感覚があり、物語が風景を立ち上げる」。そして

「物語を持たない風景は旅人を楽しませない」「土地のもつ文化力、豊かさの源泉がその土地にある物語である」

 私(菅家)は、奥会津で地名の聞き書きをしているが、それは地名のある場所では、かつて人間活動があったことを示している。多くは狩猟や山菜菌茸採取である。それをしていくと想い出と地名は混在して記憶されていることがわかる。そしてそれは子孫に伝承されている。子孫から祖先への伝承は行われないが、語りのなかで、その交流はある。

 本来、奥会津大学が目指すべき観光というのは、これまでの観光ではなく第3の観光、オルタナティブな観光であり、ガイドの養成といってもこれまでのツアーガイドではなく、生活者ガイドであるから、哲学的議論と手法の開発が求められる。これは産地視察会・産地公開・ワークショップ等でも同じことが言える。

■橋本和也『観光経験の人類学  みやげものとガイドの「ものがたり」をめぐって」(世界思想社、2011年)

 150ページから興味深いことを言っているので抄録する。

 「思い出深い経験」とするためには、ガイド(案内者)独自の「ものがたり」が必要になる。

 観光は「よく知られているものの確認」。

 「よい観光経験」のためには、条件つきではあるが観光客にはそれなりの「発見」が必要となる。「付け足しの発見」、枠組みからはずれない「小さな発見」が望まれている。

 「ものがたり」がまだ構成されていない対象に観光客を導くことは、まだ「知られていないもの」を「発見」させることになる。それは観光だけではなく、冒険や研究の領域に入る。観光では、観光客にははじめてのことでも、一般には「よく知られていること」を確認させる。その意味では観光客にそれなりの「小さな発見」を提供することになる。しかしそれは事前の枠組みにそった「小さな発見」である。

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昨年の奥会津大学フィールド・ワーク(7月)

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かすみ草写真集1

  • 20061010img_3904
    348枚。菅家博昭撮影。かすみ草生産地での撮影。

奥会津の風景01

  • 20060801img_4064
    387枚、菅家博昭撮影。おもに昭和村など。

2006欧州視察

  • 20061101dsc00245
    2006年11月 JELFA欧州視察の個人写真記録。菅家博昭撮影。

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  • 20100131dsc00811
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2010年02月 かすみ草栽培

  • 20100212dsc00221_2
    2010年2月12日 かすみ草ファンタイムの砂あげ苗のポット仮植作業。撮影菅家博昭。

2006年夏の記憶

  • 20060913img_9418
    2006年の奥会津・昭和村、カスミソウ栽培の風景。菅家博昭撮影。

2006年秋の記憶

  • 20061114img_1169
    2006年秋の福島県奥会津の風景、カスミソウ栽培の様子など。菅家博昭撮影。

2006年12月冬の沖縄

  • 20061203img_3812
    2006年12月の沖縄県内。花の生産地や街の様子。菅家博昭撮影。

2007年1月から

  • 20070401img_9892
    2007年1月から奥会津などの風景、菅家博昭撮影。

2006北海道かすみ草サミット写真誌

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    2006年7月13日、14日。北海道夕張郡由仁町で開催された第4回全国カスミソウ北海道サミットinみなみそらち・ゆに

2007静岡カスミサミット東京

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    2007年2月1日に東京都内・大田市場で開催。

2007年4月から

  • 20070426img_5713
    2007年4月から、奥会津の風景、かすみ草生産作業風景など、菅家博昭撮影。

2007年5月の風景

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    2007年5月の奥会津の風景、かすみ草生産。菅家博昭撮影。

IFEX2007_TOKYO_01

  • 20071011ifexdsc02602
    144枚、菅家博昭撮影。幕張メッセ花の展示会。

2007年11月

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    2007年10月オランダ、アムステルダムのホルティフェア、アールスメールマーケットでの印刷物資料

2015 からむしフェア

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    2015-07-18,19福島県’奥会津’昭和村で開催された第30回からむし織りの里フェアより。昭和村佐倉(からむしフェア)、喰丸小学校(新作記録映画 春よこい)大芦(からむし畑見学・からむし剥ぎ、からむし挽き。保存協会)地内。菅家博昭撮影。76枚掲載(372枚撮影)。キャノンEOS、ソニーTX。
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