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2013年2月10日 (日)

いざりばた izari-bata

■2012年9月から11月まで大阪千里の国立民族学博物館(民博)で特別展「世界の織機と織物」が開かれた。

 民博の民族文化研究部教授の吉本忍氏が中心となって座談会が開かれ、同機関誌『みんぱく 2012年8月号』に掲載されている。→ PDFファイル8ページ分

■1991年(平成3)11月に民博で行われたシンポジウムをまとめた書籍が1995年に平凡社より刊行されている(6800円)。

 吉田集而編『生活技術の人類学 国立民族学博物館シンポジウムの記録』の258ページから283ページまで吉本忍「日本とその周辺地域における機織り文化の基層と展開」が掲載されている。

 本書はじめに、で、吉田集而は「吉本忍氏のこの論文は、手織機の類型論、分布、そして歴史的発展へと歩を進めた重要な論文である。彼の類型論によって初めて手織機が比較可能になり、その歴史的発展がたどれるようになった」

 奥会津・昭和村でアサやカラムシなどを織ってきた手織機は、古老はすべて「いざりばた izari-bata」と呼んできた。私の祖母トシ、曾祖母トメなどもそうであった。しかし最近の昭和村の織物関係者間では「地機(じばた)」と呼んでいる。

  → 1995年 カラムシとアサ

 吉本忍氏は「腰機(こしばた)のうちには、わが国で一般に「いざり機」(居坐機)の名で呼ばれてきた手織機も含まれている」とし、「地機」(じばた)は「地面に打ち込まれた杭や、杭にわたされた棒などの先端棒と手元棒、あるいは経巻具と布巻具などの経糸保持具に経糸がかけわたされた形式の手織機であり、経糸の張力は一定に保たれている」として別なものであるとしている。

 また、279ページで、論理的な根拠が不十分なままに復元された「弥生機」の存在は否定されてしかるべきであるが、現状の考古資料からは他の形式を特定することも不可能である。ただし腰機の原初的な形式として位置づけられる①型の腰機が、わが国に隣接する台湾やミクロネシアをはじめとした広範にわたる地域に伝播していることや、機織り文化の始原が縄文時代晩期にまで遡るということからは、わが国においても①型の腰機が存在していた可能性は少なくないと考えられる、としている。

 東村純子『考古学からみた古代日本の紡織』(2011年、六一書房)は、これを受けた実証(輪状式原始機)をしている。改訂新版が2012年に刊行され、六一書房より販売されている。

■1989年(平成元年)に河出書房新社より発刊された『民具が語る日本文化』(2000円)で、関西大学教授の角山幸洋は「手織機(地機)の東西差 産業史の立場から」(75ページから123ページ)で、

 原始(弥生)機・地機・高機(たかはた)・空引機など、(略)高機の出現により区別するため地機と呼称されたものが多い、とする。

 たとえば製織するときの織工の腰の位置が低いこと、あるいは高機にたいして機の背丈が低いことから、低機・下機・平機とつけられ、古くからつかわれたことから神代機とし、またすわって製織することから、い(居)る機、つまりイハタとし、足縄によりマネキを引きあげることから、ヒキバタとするなど、地機の形態とか、機織動作などによって付称されることになる。(略)過去においては一般にイザリバタ(この用語のもつ原義は、スワル(居座・居坐)、つまり坐って織る機ということである)とよんでおり、現在では、地機あるいはジバタと、その地方固有の名称を変更することが多くなっていて、イザリバタの名称分布を実証することを困難にしている。

 東日本型(垂直型、居間型)

 西日本型(傾斜型、土間型)

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