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2013年2月28日 (木)

良いからむし(苧麻、青苧)とは?

■『会津学』二号(二〇〇六年、奥会津書房)に昭和村織姫体験生として平成十三年に経験後、同村からむし工芸博物館の学芸員であった朝倉奈保子さんが「苧の道」を報告している(現在欧州在住)。特にからむしの買入(仲買)に関わる人々からの聞き書きが集められている。苧(からむし)。

 越後上布や小千谷縮を織っている越後では以前、地苧という越後で栽培されていたからむしを使っていた。しかし、明治期にはその生産の衰退し、次第に山形の羽州苧や会津産のからむしを使うようになっていった。なかでも会津苧は最後の発産地ではあったが、質が非常に高く、すでに文化年間(1804~1818)には「格別の上縮」に用いられるに至っていた(『小千谷市史』上巻、『越後縮の生産をめぐる生活誌』31頁)。
 明治16年の新潟県への苧の移入量と価格が記録されているが、
 会津苧 1000貫目  3000円(1俵30円)
 米沢苧 3000貫目  6000円(1俵20円)
 最上苧 8000貫目 14000円(1俵17円50銭)
 となっている。全体からみると会津苧の量は多くないが値の高さから品質の良さがうかがえる(『越後縮の生産をめぐる生活誌』37頁)。

 昭和村のからむしについて、聞き取り調査で尋ねた仲買のほとんどが、大芦、並びに川を隔てて大芦側の両原集落のものが良質だと答えている。多少の差はあるが、小中津川、佐倉、喰丸、小野川、大岐がそれに順ずる。殊に大芦のキラ(光沢)は他のどの集落にも勝るという。
 明治17年10月に五十嵐伊之重が記した「大日本農会報告第四拾号」にある明治16年度のからむしの集産額価格表をみても、大芦のからむしの価格が最高となっている。
 越後側では、会津産のからむしを会津苧とよんでいたが、そのなかでも最優品とされる大芦の産は大芦苧とよんでいた。別の呼び名で扱われていたところからも、大芦産のからむしの品質の高さがうかがえる。

 昭和村以外では、南会津郡只見町布沢のからむしが高値で売られている。実際、中向斎藤清左衛門家では2代にわたって布沢のからむしは大芦並だと高く評価し大量に購入していた。吉尾の手前の「まぎ」という沢付近のからむしも高品質だったという。

 良いからむしの条件というのは、光沢(キラ)があるかないか、そしてキズがあるかないか、ふわふわしているかどうか、尻が軽くないか、である。
 キズがあってもふわふわしていれば良質と判定される。反対にキズがなくてもふわふわと軽くないものは良くない。
 鑑定の仕方としては、頭の方を持ち、少し持ち上げてよく見る。軽く振りながら全体を見る。頭を持って少し握るだけで、からむしの硬さ、柔らかさ、挽き方の腕がわかった。振ってみれば音でわかるという。
 また100匁(もんめ)のまとめ方にもコツがあった。以前は朝から晩まで盤を離れず上げ膳据え膳をしてもらい、一日中挽き続けた。一日で100匁を挽く人を「ガサを挽く人」というが、以前はこのような人が現在よりも多く、一日に挽いたもので100匁をまとめることができた。
 何日もかけて挽いたものでまとめたり、また違う人が挽いたものを混ぜて束ねるのは望ましくなかった。以前は短尺(タンシャク)や私苧(ワタクシ)を本苧に混ぜ込んだので、現在の100匁よりもかさがあり、質も良かったという。
 質の良いからむしは、葉が小さめで葉の緑もあまり濃すぎず、茎も太すぎず少し赤みを帯びた繊維に見えるものがよいという。
 根は太く、出ている芽の間隔が狭いもの、そしてその芽がぶつぶつしていて大きいものが良い。

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  • 20070201img_9619
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  • 20070426img_5713
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  • 20070520img_0193
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IFEX2007_TOKYO_01

  • 20071011ifexdsc02602
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2007年11月

  • 20071108dsc04006
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2015 からむしフェア

  • 201507_19img_6580
    2015-07-18,19福島県’奥会津’昭和村で開催された第30回からむし織りの里フェアより。昭和村佐倉(からむしフェア)、喰丸小学校(新作記録映画 春よこい)大芦(からむし畑見学・からむし剥ぎ、からむし挽き。保存協会)地内。菅家博昭撮影。76枚掲載(372枚撮影)。キャノンEOS、ソニーTX。
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