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2015年1月31日 (土)

カラムシ、なげる人があったら、もらっておけよ(昭和村大芦)

■2015年1月31日(土) 雪

 本日は午前7時発で、南会津郡只見町へ。文献調査(史料)。午後は黒谷の朝日センターで研究発表会(生物学)
 
■ 3月1日(日)13時30分、福島県立博物館 特別講演 佐々木長生 学芸員 半生(反省?)を語る。最終講義です。  → 催事要領PDF
 
 
■ 2015年1月30日(金)雪。午後に大沼郡昭和村大芦で、からむし栽培・生産について、話をうかがいました。皆川吉三さん(昭和12年生)、アサノさん(昭和17年生)夫妻です。アサノさんは2010年10月30日の福島民友新聞に記事が掲載されていますが、同年の福島県教育委員会の文化財伝承活動でからむしの「苧(お)引き」で、表彰を受けています。
 実は、5年ほどまえの2011年7月17日に、大芦の区長事務所前でからむし織りの里フェアの実演が開催され、それを取材しています。きちんと、お話をうかがうのは今日がはじめてでした。 → 2011年7月の記事
 
 第二次世界大戦のさなか、そして敗戦。その時期、食料が不足して、当地大芦でも、畑のカラムシの根を掘り起こして、ジャガイモなど食料となる野菜・穀類を植えることになりました。その際、根は焼いて灰にして肥料にしました。
 それでも、後に、すぐ畑にカラムシの根を戻せるように、山際や、畑のほとり(へり、ふちに)に掘った根を並べて「根をやとう」ことが行われました。戦後、それを掘り返して、畑に戻しています。
 しかし、畑のまま、カラムシの根を維持し、栽培を続けた人々が大芦でも数軒、、、、4軒か5軒ありました。そのひとつが、先日話をうかがった五十嵐善良さん宅、そして皆川吉三さん宅です。
 
 今回、困難な時代でも、伝統作物のからむしを続けた精神とは何か?を調べています。家族のなかで、当時、どのような会話が行われていたのだろうか?を聞いています。
 皆川吉三さんの父は善次さん、母はハツ子さん。祖父は仙次さん、祖母はヤノさん。昭和12年生まれの吉三さんは、当時、6歳から8歳と、小学生の低学年です。
 「カラムシ、なげる人があったら、ナエをもらっておけよ」と、家庭内では言われ続けたようです。
 翻訳すると「カラムシを畑から掘り上げ、その根を捨てる人があったら、その根をもらっておきなさい」というものです。
 理由は、「を・からむしで一年の生計をたてていたから」と語ります。「を」とは、アサのことです。「を(アサ)」で糸を績み、布を織り、染め、ほとんど自家用の衣類やスキンノウ(ふかしの敷き布)を作った。
 
 しかし当時は現金があってもコメ・食料は買えなかったから畑にイモなどを植えたことが多かった。
 
 実際に植え替えなどでは、「イイネ(よい根)」しか植えません。また、根で増やすカラムシの根ことを「カラムシのナエ(苗)」と表現しています。
 カラムシの収穫が、なぜ一本一本、苅るのか? その長さ(規格)の意味。適した畑の環境なども教えてもらいました。

 

 よい品質の繊維がとれる系統(昭和村では品種、系統のことを「タツ tatsu」といいます、よいタツのカラムシ。質(たち、しつのこと)が語源と思えます)。
 よいタツのカラムシのナエ(根)がある畑が、あるので、それを掘って増やしたいと吉三さんは情熱を込めて語っていました。それを聞いた奥さんのアサノさん、「まだ、増やすの?」。
 アサノさんの生まれた家が作っていた畑で、いま引き継いで管理されている。何十年採っても失(う)せない、繊維の品質も良い。斜面の畑で、土壌は基盤がイシカラ(砕石)で、土はクロボク。
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 農業に定年は無い、とよく言います。私は奥会津の70歳から90歳の人々の「からむし栽培」「カスミソウ栽培」「自給・ギフトのための販売しない野菜栽培」「糸作り、布作り」「手仕事」の話をうかがっていて、その失せない情熱にいつもふれます。いつも次ぎのこと、来年、来年以降(将来)のことを考えて、今行うべきことに取り組んでいます。

■ → 同時代資料、昭和27年、昭和村村勢要覧  2014年7月9日
 
 
主要物産は、「用材」「木炭」「漆器素地」「苧麻・大麻」「茸(きのこ)」となっています。
 
 ◎苧麻(青苧・からむし)は古来より本村の特産物で、越後縮布の原料として、新潟県小千谷町に販出する。大麻は鹿沼麻に次ぐ優良品を産する。
 これらの作物は戦時中食糧栽植に転換したので、主産の減少を呈したが近年逐次増植されつつある。
 大麻は生産920貫で、この製品の60%を村外に販出し、約40%は自家用に供し、手織で蚊帳地、股引地を生産する。
 苧麻の年産額は200貫で、その大部分を販出する。大麻を縦糸とし、苧麻を横糸にして優良な洋服地を、手織で生産する。これを夏服に仕立てれば、実に瀟洒・冷涼である。

『1951 昭和村勢要覧』(昭和村役場 村長小林蔵田、昭和27年3月) に、昭和25年2月1日現在の統計(つまり、戦後すぐの昭和24年の夏の状況)として、「主要農産物収穫面積及作付農家数」という表に以下のような繊維作物が記載されています。ガリ版印刷(手書き筆耕、謄写版)。
 
 あさ 農家数 469戸、 面積 1153畝
 
 あま 農家数  6戸、 面積 13畝
 
 ラミー 農家数 118戸、面積266畝
 
 
 ラミーはからむし(苧麻・青苧)のことをいいます。2町6反6畝、約2.6ヘクタール。118戸が栽培しています。
 
 アサは多く11町5反3畝、約11.5ヘクタールで469戸。
 
 はじめて出てきたのは亜麻を栽培していることです。6戸で、1反3畝。栽培経験のある人がまだ生存しているかもしれません。

 水稲は608戸。29450畝(約290町歩)

 こうぞ 2戸、1畝 もあり、たぶん松山集落の紙すきだと思います。

※瀟洒、、、五十嵐甚三郎さんの教示による(2015年1月31日)
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 夏の写真は2011年7月17日に撮影(菅家博昭)
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大芦区長事務所
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からむし剥(は)ぎ  皆川吉三さん
 
 
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皆川アサノさん
 
■からむし織りの里フェア → 2014年7月20日の記録(五十嵐甚三郎さん)
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2015-01-30福島民報 只見川ダム群の防災と暮らしを考える住民会議、27日。
 
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鈴ヶ倉 、  志津倉山
 
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大清水
 
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小出山(浅岐)
 

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奥会津の風景01

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