基層文化

2010年6月 7日 (月)

麦・タンポポ・カタツムリ

■昭和6年竹富島生まれ、14歳まで島で暮らした男性に話を聴いた。隆起珊瑚礁の島なので畑を耕すと石が出る。それを畑の境界に積み上げたものがアジラ(畦)。力がかからない芋掘りへら(ンプイラ)で耕した。鍬は土のある限られた土地で使う物。アジラそのものへの植栽についても聞いた。
  竹富島のアジラ(石積み畦、石垣)には、作ったわけではないが「野いちご」などが生えてきた。種子を風や鳥が運んだりして芽生えたのだろう。また野ブドウもあった。いくつかアジラには実のなる植物が生えていたな。そして、当時、蚕をかっていて桑の実もよく食べた。
 のぐさ(野草)は、自然と、こどものときに、親から「これは食べられる草だよ」「これは食べられない」と教わった。自分の畑の野菜が無くなり、次の野菜がとれるまでの間は、のぐさ(野草)を採って野菜代わりにしたものさ。
  タンポポは菊の花に似ているから菊菜(くななー)と呼び、引き抜いて根を落とし葉を食べる。麦の刈り株にタンポポが出て、そこにカタツムリ(シダミ)が集まる。そのカタツムリを水を入れた鍋で煮る。熱くなるとカタツムリは鍋の縁にあがってくるから、その縁には塩を塗っておくと鍋の外に出れない。
  カタツムリを塩ゆでにした鍋にはタンポポの葉を切りいれたものさ。味はな、いまでいえばサザエに似た味だったと思う。 カタツムリを食べたのは3~4月ころだったな。

2010年4月25日 (日)

クージ(トウヅルモドキ)

■竹富島では、クージ kuzi (トウヅルモドキ)を、三つ、四つに割り、内側の肉を削る。細竹のように見えるが、異なる植物で島内に自生している、という。竹富島では、鍵となる植物がクージ。屋根の下地をスパイラルに編む、生活の道具を作る。→クージ  →ユッツル編み

Taketomi2010dsc02417

Taketomi2010dsc01985

Taketomi2010dsc02009

Taketomi2010dsc01737

木炭の樹種鑑定

■2010年4月24日、25日に山形市上桜田 東北芸術工科大学東北文化研究センターにて開催された 平成22年度文部科学省オープン・リサーチセンター整備事業「東北地方における環境・生業・技術に関する歴史的動態総合研究」。

 →記憶の森を歩く

 公開シンポジウム「東北古代の変動 火山灰と鉄」

 木炭の樹種分析が考古学的に行われている。2007年8月に沖縄県八重山郡竹富島で、星野リゾートにより竹富島東部の森林(原野)が伐採・焼却された問題で、伐採時期・焼却時期を現地木炭の採集により放射性同位元素分析(ラジオカーボン)のほか、木炭片の樹種分析により星野リゾートが主張するような樹種ギンネムのみ伐採焼却したのか、多様な樹種が伐採焼かれたのか、そのことが裏付けることが可能である。2007年、2008年の竹富島上空を周回している人工衛星からの画像も、夜間焼却の事実について証明可能。

20100424dsc03467_2

2010年4月19日 (月)

たいせつなもの

  これまでの社会の仕組みが、これからは通用しないことが多く見られるようになっている。そのインパクトは地震や火山噴火とか降雪とか、、「地球のいとなみ」の鼓動が、ようやく聞こえるようになってきた。荒ぶる自然を前提にして思考する、ということは、つまり未来は過去のなかにある、ということだ。

  小さな気配を感じることができますか?竹富島では07年8月に星野リゾートが測量調査名目で大規模伐採、伐採物の違法野焼きをしてから、蝶の道の蝶が3分の1に減った。毎年定期的に訪ねている観光客の発言です。小さな気配、小さな変化、きざしを感じることが大きな予兆を知ることにつながります。

  それはたいせつなものではない、希少な種ではない、、、、それが何を意味するのですか?たいせつなものは、たいせつ。

Taketomi2010dsc01669

2010年4月16日 (金)

地球遺産 竹富島のアジラ(石積畦)遺構

■2010年4月11日、12日、13日と1人で沖縄県八重山郡竹富島を訪問し現地調査(文献調査・フィールドワーク)をしました。この調査は自分の意志で行い、かかる費用は個人負担(航空券113,000円、新幹線14,920円、船1,100円、宿泊費15,600円、タクシー5,030円)です。図書も竹富島や那覇市内で33,672円分購入しました。その後も日本の古本屋サイト・アマゾン等で古書文献を購入続け読んでいます。

 4月17日に東京・代々木公園アースデー、ケヤキ並木25番ブース(三浦・三戸さんのブース)で来場者に調査事実をお伝えする予定です。「蝶の道」の破壊だけではない、ことが明らかになっています。

 明日のアースデー代々木公園ケヤキ通り25番での署名は数を集めるのではなく、心、つまり言霊を集めたいと思います。「あなたの気持ち」を描く署名にしたいと思います。氏名(匿名・ハンドルネームでも良い)・年月日・そして「あなたの気持ち」を集めます。絵でもよいです。八王子祭りのように、、、1人1人に語りかけ星野リゾートによる竹富島島民いじめ、自然破壊・遺跡破壊、その反社会的行為を理解していただくことが大切です。セルフサービスではなく対面販売のように。

■最大の問題は、竹富島にめぐらされた石垣ネットワークが未調査であることです。家屋を守る垣として四方にまわすものは予想しましたが、畑もすべて低い石垣、アジラaziraがめぐっています。畑から掘り出した石を高さ50cm、幅1mくらいに直線上に積んで畑を囲んだものです。島内のアジラ総延長はいくつになるでしょうか?図の網の目の総延長を測ればわかるでしょう。アジラとグスク(城、竹富島では家の石垣)はセットです。

 2000年に竹富町教育委員会が刊行した『竹富島の集落と民家 竹富島伝統的建造物群保存地区保存計画見直し調査報告書』70頁に、「アジラとグスクの分布」(出典:「竹富島に何が可能か」)が掲載されています。網の目がすべてアジラです。黄色の○は星野リゾートの開発予定地です。すでに許可を得ずに2007年8月にこの予定地を伐採、整地しています。アジラは調査もされずに破壊されています。

Taketomi2010dsc02645

■私は畑の遺構でこのようなものを見たことがありません。似ているものはシシガキ、猪の畑への侵入を防ぐ石垣でしょうか(1997年に宮崎駿『もののけ姫』に出て来る)。管見では「土地の境界」「防風・防潮」「畑作物の保護」といわれています。そもそもアジラの研究報告が少ないようです。これが琉球王府統治下の16世紀中頃から19世紀後半(竹富島文化遺産形成時期の第Ⅱ期)に作られたものといわれています。石を掘って畑を作る、その石を畑の境界に積むことが発端なのでしょう。

 現地を歩いてみて、高度な島の利用とは、つまり高度な自然破壊であることから、それを人知で補うことがなければ永続して暮らすことができません。畑を石垣で囲う、それが全島内に及ぶというのは、島に降った雨を海に出さない仕組みとしてアジラ・ネットワークを創造したと思います。水源涵養機能としてのアジラ、つまりダム機能です。水は地下水に頼る竹富島は、その降雨を海に出さずに、島の地下に浸透させる工夫が集落街路で行われています。そのことから想像してみても、畑の雨水管理は、降雨による土の流出を防ぐ効果もあると思われます。

 ひとつの島に石垣積の畑がデザインされている、というアジラ・ネットワークは、21世紀の水不足の時代に大きな社会的メッセージを持つものでしょう。人類が自然と向き合うありかたとして竹富島のアジラ・ネットワークは人類遺産であると思います。(菅家博昭 2010年4月16日記)

Taketomi2010img_8560

Taketomi2010img_8548

Taketomi2010img_8552

Taketomi2010img_8554

Taketomi2010img_8551

Taketomi2010img_8556